運転手はペンギンだ、車掌はバカだ
 
皆さんは正月をいかが過ごされたでしょうか。私は大晦日元旦と、バイト先のコンビニで「いらっしゃいませこんばんは」とか「ありがとうございます、またおこしくださいませ」とか棒読みで連呼して過ごしました。そんなツイてない年末年始のシフトの合間を縫って、夜勤明けから直行して実家へと栄養をつけに帰ったのですが、その時の出来事です。

その日の朝はかなり冷え込み、気温も氷点下だったのですが、地下鉄(5分)→JR(30分)→バス(20分)→徒歩(5分)というあまり外気にさらされないヒキコモリみたいなコースなので、そう寒くもないだろうと考えていました。地下鉄はそもそもが暖かいので良かったんですが、JRに乗ったらびっくりです。外は氷点下だというのに暖房が入っていません。乗客という乗客が白い息を吐いているんです。氷点下ですよ氷点下。昭和基地出身ですか車掌は。乗客がまばらなのでおしくらまんじゅうを呼びかけることすら出来ません。どうにもならないので30分我慢して実家の最寄駅まで乗りました。
※昭和基地--日本が南極大陸に建設した基地。とても寒い。

駅を降りるとたまたまバスが来ていたので、やっと暖がとれると思い乗り込んだのですが、ここも暖房が入っていないんです。発車時刻になればエンジンをかけるだろうから暖房が入るだろうと期待したんですが、発車してもいっこうに暖房の入る気配がありません。運転手だって寒いはずなんですよ。しかし何故か運転手はシャツの上に制服という寒々しい姿。ペンギンですかあなた。

このあたり、一体どうかと思うんですよ。私の知りえないところで国家の陰謀に巻き込まれて暖房を入れてもらえなかったとかいうのなら話もわかります。しかし普通に考えて、正月早々から続けて陰謀巻き込まれることは考えにくいことです。ではこれはどういうことなんでしょう。

どちらも公共の交通機関というところが問題だったのではないでしょうか。これがもし国営鉄道とか国営バスだったら簡単に納得のできる話です。お上のやること程いい加減なことはありませんから。確かに乗った交通機関はJRであり民営バスではありましたが、公共の交通機関なんてものはほとんど選択の余地がないわけですから、移動手段の専売みたいなものです。民営ではあれども、競争原理の働かないところには、サービスの向上はそうそう望めません。氷点下の表を数時間も行軍するくらいなら、誰だっていくらか払って丸くなるわけですよ。

サービスという言葉を使いましたが、何も利用者が得をするような類の意味ではありません。殿様商売やってくれても構わないんですよ。しかし欠けている常識だけは何とかして欲しいものです。乗り合いなんですからいくらか寒いとかなら車掌(運転手)に任せるのが当然ですし、そういう車両に出くわすことは実際多いです。しかし真冬の氷点下なのです。あともう少し寒ければバナナで釘が打てるんです。これが競争原理の働いている市場であれば、そんな会社は自然淘汰されてしまうわけです。が、実際は淘汰されようがありません。このあたりの危機感のなさがこういうことを引き起こすのでしょう。JRなんて真夏の満員電車に暖房入れちゃってニュースになるくらいですから。
 
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