現代ロシアンルーレット事情
 
インフォプラントの調査によると、塾や習い事に通っていない小学生は、驚くなかれ0.5%だそうです。0.5%というと、200発装填可能なリボルバーでロシアンルーレットをしてもたった1人しか死なないというくらいですので、それくらい運が悪いというか稀な数字です。現代の子ども事情から考えたら当たり前なのかもしれませんが、私が小学生だった20年前と比べますと、この0.5%という数字には驚きを隠せません。

10年ひと昔とはよく言いますが、20年前のふた昔とはえらい違いです。時代の流れと言ってしまえばそれまでですが、学校が終わった時間に子どもの姿を見なくなったのは誰しも塾だの習い事だの通っているからなんですね。しかし子どもは遊ぶのが仕事のはずです。食べるわけでもないのに近所の畑から野菜を盗んでみたり、駄菓子屋でババァの目を盗んで万引きしてみたり、公園で野球して隣の家にホームラン飛ばしてガラスに風穴ぶち抜いてみたり。そうして結局怖いおじさんに怒られることで社会のルールなんてものを覚えたような気がします。

こないだTVである母親がこう言っていました。「(自分の小学生の息子が)時間がみんなと合わなくて遊べないから習い事をさせることにした」と。小学生同士が時間が合わないって一体どういうことですか。学校終わる時間なんてどこの誰だって同じはずじゃないですか。それとも最近のゆとり教育じゃ残業だの出張だのあるんですかね。単にその息子が嫌われていて避けられているだけなら話はわかりやすいのですが、どうもそうではないようです。99.5%の小学生が学校終わった後に習い事の予定があるわけですから、確かに時間が合わないというのもわかる気がします。かわいそうに現代の子どもは習い事に行った先でないと友達と合う時間がないのかもしれません。

しかし子どもってのはどこでも遊びを見つけるものですから、そこが塾だろうがなんだろうが独りで過ごすよりは100倍もましでしょうし、現代社会がそうであればそうするほかはありません。が、前出した母親は一味違いました。友達と同じ習い事に通わせるのが普通の気がするんですが、なんとその母親は体育家庭教師を雇いました。1コマ90分7000円だそうです。どんな馬鹿野郎にも限度があると思うんですよ。友達と時間が合わないなら合わせてあげたらいいじゃないですか。なんでそこに90分7000円の家庭教師が出現する余地があるんですか。友達と時間が合わないことがまるで解決してない上に、父親がそれを知ったら「おれにも90分7000円の店に通わせろ!」などと怒鳴られるに違いありません。

幼児教育なんてものが教育熱心な親には人気あるらしいですね。ハイハイとかだぁだぁ程度のほとんど赤ん坊に無理矢理教育を施すあれです。どちらかというと教育というより洗脳に近いんじゃないですかね。もしくはひどい茶番。つまりどうでもいいんです。なんかわけのわからない自称専門家に金払って赤ん坊預けるくらいなら、よっぽどその時間に愛情をかけてあげなさいよ。

結局どれもこれも一緒なんですよ。通わせることで親が満足感を得ているだけなんです。本当に何か子どもにしてやろうと思ってるんでしょうか。通わせるっていうのはつまり人任せじゃないですか。実は先程から出てくる99.5%という数字は、「塾や習い事に通わせている」数字なんです。考えてみたら親の満足度を測る数字なんですねこれ。なんのことはありません。最初っから答え出てましたよ。
 
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