1999.10/10

 第二幕、今日は少し時間がさかのぼります。ボタンが到着する前に、本体の材料を揃えた時のお話をしましょう。

新聞紙…… 体育の日。お休みです。奇しくも日曜日でありました。今日の目的は「筐体ボタンの取り付け寸法をとる」ことと「本体の材料の入手」にあります。目的地は新宿。ゲーセンには事欠かない場所ですし、東急ハンズで必要な材料や工具も楽に入手できます。
 小型のメジャー片手にまずゲーセンへ。ぶらりと立ち寄ったゲーセンで『ステッピングステージ』の続編を見つけてしまい、ついうっかり『スキャットマン』などを踏んでしまうのは、ゲーマーの悲しい性でありましょうか。
 体も充分に温まったところで二回のフロアへ。ここにはプリクラにまじってポップン1の筐体がありました。懐かしい! しかもうまいことに新作でないため、あまり人が居ません。ビッグチャンスです。はっきりいってゲーセンで筐体の寸法をとるところを、ヒトサマに見られたくはありません。
 さりげなく筐体の前に立ち、コイン投入。懐かしく『ポップス』など叩き、クリアなど見果てぬ夢であった『アニメヒーロー』など叩いているうちに……寸法とれませんでした。だ、だって人も店員もたまに来るんだもん! その後リザルト画面やスコア表示の際に腰からメジャーを取り出し、そそくさと寸法をとりこっそりとメモをとる。怪しいです。ヘボスパイっぷりに涙が出てきますよ、えぇ。
 ポップン1を充分に堪能し終えた頃、やっとボタンの取り付け寸法と、筐体パネルの寸法をとれました。

背面から その足で東急ハンズ新宿店へ。私は本体に求めるものが一つだけありました。それは耐久性です。当時の最新ポップンは「3」でありました。その頃の私のプレイスタイルというのが『カントン』をまったりと叩き、『パンク』をノリノリで叩き、最後に『サウンドトラック』の練習をするというものでした。「本気で『パンク』を叩いても絶対大丈夫にする」というのが、本体に求めた強度です。
 材料の吟味に入ります。まずパネル面の板はもっとも強度が求められますが、ここでは厚さ12mmの板にしておきました。これ以上厚いとボタンを取り付けられなくなるからです(やり方は他にもありますが)。
 一応コの字型のアングル(金属の棒)も買うことにしました。気休めでも、裏側に取り付けて補強とします。その他に角材、側となる板、発泡ゴムの足、黒い壁紙(外装に使用)などを購入します。結構な出費でした。ボタンの時といい、いよいよ後戻りが効かなくなってくるのを感じます。
 材料の購入場所をハンズにしたのは、その場で加工してもらえるからです。ここではパネル面となる板の切削と穴空けだけやってもらうことにしました。もちろん有料ですが、自分でやるより早く正確に加工できるので、利用する価値は充分です。ゲーセンで調べてきた寸法を参考に、その場で図面を描いて加工を依頼します。ボタン用の穴を一つ空けるのに150円……まぁ、早くて正確ですし。
 その場で図面を描いてその場で渡す。……寸法のデータは手元に残りませんでした。まぁいいや、加工が終わるまでポップンしてよーっと。←つくづく業が深い


 1999.10/24

しわしわ&白い縁 ボタンが届いて最初のお休み、さっそく本体の組立に入ります。もうここまでくれば日曜大工です。穴の空いたパネル部はもう正寸(700×400)になっているので、長さ15cmの足をつけて四方を板で囲んで箱の完成です。角材やL字アングルで内側を補強しておきましょう。ここだけの話、材料の質をケチらずにもっとしっかりした材料で作るべきであったと反省しています。

 外側は黒い壁紙で仕上げます。……ここでまた悪い癖が出まして、とのこで隙間や木目をキチンと平らにしてから貼ればいいものを、あろうことか新聞紙を貼り付けて下地としたのです。しかも、濡れた新聞紙は乾くと障子紙のごとくピンと張り「ひょっとしたらこれでいけるかも?」とか思ってしまいました。結果はこちら。技量の分を差し引いても皺だらけ……。でもだいぶ形になってきましたよ。ボタン用の穴の切り口が白くなっているのが判るでしょうか。じつはこれ、厚さ1mmのプラ版をぐるりとまわしてあるのです。なぜこんな事をしたのか……穴の大きさを間違えているからです。ダメダメですな。穴の大きさは直径90mmで空けてもらいました。 少しきつくても、相手は木ですから削ればよかったのですね。余裕をとったつもりが裏目に出ました。
 もし二台目を作るときは、もっと精度の高いものを作る自信はあります。……これよりはひどくなりませんでしょうから。

おおざっぱな裏側 それでもボタンを取り付けてみると、急にコントローラーらしくなり、気分も良くなりました。うん、表側を見る限りでは完成品のようだ。どれ、さっそく叩いてみようか。右手を振り下ろす。刹那、部屋に響く音。
 「こっ、この音の大きさは……!」
 部屋とゲーセンとでは、あまりにも環境が違います。ボタンと本体から出た音は私の想像をはるかに越えていました。ゲーセンの中でやっとその存在を認められるものが、今巨大な質量をともなった『家庭用』コントローラーとしてここにあるというシュールな現実。日常の中に、収まりきらない異質な存在。
 「迂闊……! まさか、まさか」
 実際には使えないものを作ってしまったのではないか。
 (つづく)

一番目の画像・組み終えた本体に新聞紙を貼り付けた状態 問題はここから始まった
二番目の画像・スタートスイッチ部の拡大 このスイッチはゲーセンではメジャー しかも安い
三番目の画像・ボタン取り付け前の本体 プラ版の他に、ボタン回転防止用の切り欠きも見える
四番目の画像・ボタンを取り付けた後の背面画像 最低でもこれより補強材を高密度にして強度を確保しよう


 第三幕へ

 後日、パネルの寸法を取り直してきました