1999.11/x 十一月上旬。秋も深まりゆるりと過ごせる季節……なのですが、よっしーの心中は穏やかではありません。せっかく作り上げたコントローラーが、もしかしたら騒音が大きすぎて実用に堪えないものである可能性があるのですから。 しかし、いつまでもこうしては居られません。殺傷能力すら持ちうる大質量コントローラー、このまま放っておいたらちゃぶ台にもなりません。「本体から発せられる騒音」の問題はひとまず置いて、先にコントローラーの配線を済ましてしまうことにしました。 このコントローラー、ドライバー一本で簡単にバラバラになります。背面のネジを取り去り、基盤を固定しているネジ(外装を止めているネジと同じ)を取れば、すぐにスイッチの様子を知ることが出来ます。 あっ、これはよっしーが自己の責任のもと、個人で勝手にやってるだけだからみんなは真似するなよッ。 さて、これで家庭用ポップンコントローラーの全貌を知ることが出来ます。 基盤のスイッチ部にはカーボンが吹き付けられており、ゴムキャップ(スイッチのバネの代わり)の内側にやはりカーボンのチップが付いています。表側のボタンを押すとゴムキャップ内のカーボンが基盤のカーボンに触れて通電、ボタンを押したことを本体のゲーム機に知らせる、という寸法ですね。 このようにちいさなゴムがボタンのスプリング代わりなのですから、不評だった超反応も納得でき……ないな。だからこうして真・ポップンコントローラー作っているんだけど。 「クク……今は耐えろ。この改造手術が終わったとき、お前のパワーは五倍……いや、十倍以上になっているはずだッ!」 誰も見ていないので、すぐに止めました。 さて、ここからいよいよ電子工作に入ります。電子工作と言ってもただの配線作業ですから、特別な工具は用意しません。中学生の時に技術の授業で製作&使用したはんだごてで用が足ります。 ただ、手頃なリード線が無かったので、秋葉原までお買い物。数百円でかなり長く買えるはずです。ついでにポップンボタンのスイッチを一つポケットに忍ばせました。このスイッチ、端子がいやに沢山付いているのですよ。計五つ。その内二つは豆電球(スイッチと一体成型)の点灯用であると思われますが、残りの端子の用途が不明だったので、個人で悩むよりお店の人に訊いてしまおうと思ったのです。 いざ、秋葉原パーツショップへ。領収書をきってくれたお姉さんが居る店舗へと足を運ぶ。 「というわけで、この端子の用途が不明なのですが」 「あぁ、この端子はコモンですね」 「……コモンってなんですか」 えぇい、今は耐えろ。 1999.11/xx スイッチの秘密が解けました。五つある端子の内側面の二つはやはり電飾用の端子でした。ですが、九つの豆電球を点灯させるには明らかに別電源が必要であるため、ここではボタンの点灯は忘れることにします。 さて、残りの三つ。底面に一つ付いているのが「コモン端子」でここに配線の片方が必ず接続されます。残りの横についた二つの端子ですが……これは片方が「押したときに通電」する端子で、もう片方は「押さないでいるときに通電」する端子だそうで。もちろん、ポップンボタンとして使用するからには前者の配線をしなければいけませんね。 さっそくバラバラになった基盤に向き直ります。さて、カーボンには半田付け出来ないので、基盤の「銅」の部分をむき出しにしなければなりません。おもむろに模型工作用の紙ヤスリを取り出し、カーボンを削り落としてしまいます。基盤の表面を守っている「塗膜」も一緒に削り落としてしまうことになりますが、気にせず九つ+スタートボタン分削り落とし、基盤に残った削りカスは模型塗装用シンナーと綿棒でふき取りました。余計に削り、むき出しになった部分は、これまた模型用塗料(無色)で塗膜を作り直し、絶縁しました。半田付けするときに回線をショートさせないよう、絶対に必要な作業です。 あぁ、でもモデラーで良かったなぁ。こういう道具や材料が手元にあるんだもん。後は静かに乾燥を待ちます。部屋の換気を忘れずに。 さて、次は半田付けです。基盤上の銅がむき出しになったところへ半田を乗せ、慎重にリード線をつけていきます。いかんせん半田付け出来るスペースが5mmも無いので、根気の勝負です。 はやる気持ちを抑えつつ、ようやく全てのリード線が付きました! もう長い間家庭用ポップンから遠ざかっていたため、もどかしくリード線をのばしたままコントローラーを家庭用ポップン2に接続。スタートボタンに対応したリード線を引っぱり出し、線を接触。タイトル画面に移行。おおぉ、そういう風に作ったんだけど、感動! リード線を手元に並べ、トレーニングモードを選択。お気に入りの曲の一つである『デジロック』をエンドレスで流す。左白、左黄色。一つずつリード線を接触させ、ラインに光の柱が立つのを確認する。よしよし、完全に動作するようだ。 トレーニングモードを終了させ、ノーマルモードへ。試しに『マサラ』をプレイしてみる。 そう、これが史上初(と思われる)リード線ポップンプレイです。落ちてくるポップくんに合わせて、リード線をつなげ! 五つほどがんばりましたが、すぐに飽きました。 やはり普通につないで遊んだ方がいいや〜、とか思い、いったん家庭用ポップン2を終了させます。 来週はいよいよ本体との半田付けだな、とか考えながらコントローラーを片づけているとき、手のひらの中で違和感を感じました。 遊んでいるリード線が居る……! 「ま、曲がって折れた!」 左白の半田が、根本から取れていました。そう、プリント基盤上の銅は非常に薄く、半田もろともはがれ落ちてしまったのです。後には幅1mmほどの線しか残されていません。 「こ、この土壇場で……」 また問題が一つ、増えてしまった。 (つづく) |