真・ポップンコントローラーが完成し、一年半が経った2001年8月、全国のポッパーが待ちこがれた「ポップンミュージック・キャラクタービジュアルガイド」が発売されました。ポップン1〜6のキャラアニメーションの紹介は目にも楽しく、また公式サイトの情報が文書化されるなど、オンラインポッパーとオフラインポッパーの垣根を取り払った一冊であると思っています。
面白く読み進めているとき、ページの途中に広告記事が載っていました。
ポップンミュージック5、発売決定、と。
家庭用ポップン4が発売されたのが2000年の10月、それから実に一年近くなんの音沙汰もなかった家庭用ポップンの息吹を、まさかこの書籍内で聴くことになるとは思わなかったです! 思わぬところから思わぬ角度で飛び込んできた情報に、私は興奮を隠せませんでした。高い完成度を予感させる画面写真に目を奪われ、目を皿のようにして記事を読み進めました。
Playstation版、だと……?
家庭用ポップンは、1〜4までプレイステーション(PS)版とドリームキャスト(DC)版とで発売されてきました。なぜこの記事の中で、DC版の発売がアナウンスされていないのでしょうか。
猛烈に、嫌な予感がする私はDCポッパー。無論、真・ポップンコントローラーはDC仕様です。
「な、なるほど……そういうことかい、コナミさん。ならばこちらもやることはたった一つ! こちらの真・ポップンコントローラーもPS上で稼動するように改造してやるよ……。しかも! 旧・ポプコンの問題点を改善し、アケスタポプコンにも勝るとも劣らないコントローラー……そう、真・ポップンコントローラーexを見せてやろう!」
アケスタポプコン……それはみなさんご存じの、コナミスタイルが打ち出したアーケードスタイルポップンコントローラー。2000年4月に試作品が完成、これからオンラインで注文を集め、一定数の受注が集まったら製作開始、とのことです。
ゲーセンと同じサイズのコントローラーを、作るまでもなく買える時代が来るかもしれない。良い時代になったものだ。だがしかし! こちらにもポプコンを自作した意地というものがある。量産型に、そう簡単に負けるわけにはいかない。
そしてとうとうこの有様。
真・ポプコンの弱点……完成度の低いところは、もう解っています。本体の強度不足です。軽く、弱い材料を使いすぎました。そのせいでボタンの音が余計に響くのです。本体がもっとがっしりしていれば、ある程度は振動(音)を押さえることが出来ます。まずはそこから改修する事にしました。
まずは天板の部分です。旧ポプコンではこの部分は厚さ12mmの板と、金属製のアングルで補強していました。しかし、やはり木では強度は得られても音が響きがちのようです。
そこで思い切って採用したのがアクリル板(厚さ5mm)です。これはポップンの筐体に使用されているものと同じ材質のものです(ほら、ボタンが付いているプラスチックのような部分だ)。本物の筐体はアクリル+金属で強度を出しているようですが、こちらはアクリルと……やはり加工の面から木の板を選択しました。
ですがさすがはアクリル板。硬質の素材は強度、防震の両面で信頼のおけるものです。前回は金額の問題でやむなく木の板を使用したのですが、今回はそんなことは言っていられません。
側面の素材は、ホームセンターで見つけたツーバイフォー材(88mm×38mm)と呼ばれた角材を使用しています。旧ポプコンは、側面はほとんどハリボテ状態だったので、その反省を生かしてこの材料です。比較的安い、というのもポイント。
さっそく旧ポプコンを分解し、心臓部である配線だらけのDC版ポップンコントローラーを抜き取ります。今は静かに眠れ。
ボタンを次々取り外し、ホームセンターや東急ハンズで図面の通りに切断、開口してもらったパーツを借り組みしていきます。まだ接着、ネジ止めはしません。その時に、恐ろしい問題が!
……画像を見て下さい。今回の作業の中で、一番致命的なミスです。ボタンが取り付け穴の中に落ちています。
そうです、アクリル板に開けるべき穴の大きさを間違えているのです!
「ボタンの直径は100mm、ボタンの直径は100mm」と東急ハンズに向かう最中復唱していましたが、それが間違いの始まり。ボタンの直径は100mmでも、ボタンの取り付け穴のサイズは88mmなのです。穴の中にストン、とボタンが滑り落ちたとき、私はきっと青くなっていたことでしょう。アクリル板の値段と加工費は、それこそPSのソフトが楽に買えてしまうような値段なのですから。
そこで、どうしたかと言うと
今度こそ正しく開口したアクリル板を買いなおしたのです。もう後には引けない。だが、前のアクリル板をゴミにはしません。最初に買ったのは厚さ5mmの白いアクリル板。今度買ったのは厚さ3mmの透明なアクリル板です。
そう、二枚を重ね合わせて使うことにしました。
図らずもこれは、強度の確保と外観の美しさを真・ポプコンexにもたらしました。
「これで……これでいいんだ。白いアクリルと透明なアクリルの間に何かを挟み込んで装飾することも出来るし、強度的にも申し分ない。災い転じて福と成す! 俺は、俺は負けないぃ!」
この時からです。もう製作費用の累計は出さない、と決意したのは。
仮組み状態の画像です。
上から
透明アクリル3mm
白色アクリル5mm
ベニヤ5mm
角材88mm×38mm
ベニヤ5mm
という構成になっています。 |
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事態はさらに加速してゆく。
順調に完成してゆくかに見えた真・ポップンコントローラーex。しかしその前にアケスタポプコンが立ちはだかる! そして明らかになる新たな問題とは……!?
次回「打ちのめされる男」!
乞う、ご期待!
<第二幕へ>
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