積層角材と塩化ビニル板 緩衝材の使用により、静音性の向上に成功した真・ポップンコントローラーex。しかし、その外装は木部がむき出しのままです。2002年六月にはPS1で家庭用ポップン6も発売されます。新作が出るというのに、いつまでもコントローラーを裸にはしておけない!
 というわけで、初代真・ポプコンの反省点の一つである外装の貧弱感を一掃するべく準備を進めました。
 上面はアクリル板のまま、底面は5mmベニヤでいいでしょう。前面と背面は白く化粧された板を使用。側面はちょっと凝って、旧筐体をイメージして側面パネルを想起させるパーツを別に作りました。芯となる部材は角材の積層、外装は黄色の塩化ビニルの板を使用しました。
 配色を決めてから気が付いたのですが、前面が白で側面が黄色って、旧筐体の色構成と逆ですよね。まぁそれもまた良し!

ビスで本体に固定 角材を積層状にしっかりと接着してから「本体側」のみ塩化ビニルで化粧。それからビスで本体にしっかりと取り付け。ビス止めを終えてから、側面パネルの外側と側面に塩化ビニル板を貼ります。

 左の画像は前面と背面に白い化粧板を接着・側面パネルの左側だけが付いた状態。反対側も同様にパネルを取り付けます。

先に貼った塩化ビニルの板が見える 右の画像は化粧前の状態を接写したもの。構成がよく解ると思います。ビス穴は表の化粧板に干渉しないように、一段深く穴を開けています。

完成した状態 で、こちらが完成した状態。側面→前面・背面→上面の順番に塩化ビニルの板を貼り付けた後、角は面取りをしてあります。
 面取りは、紙ヤスリに角材を「あて木」すると、綺麗に削れます。お試しあれ。

 外装が完成すると、急に高級感が増していいカンジ。おまけに側面パネル部分は持ち上げるときに取っ手としても機能します。
 多少滑りやすいので、塩化ビニル板を貼っていない底面には、滑り止めとして木工用ボンドを塗っておきました。乾燥すると透明になるので、見栄えもよいです。


 そして家庭用ポップン6が発売。外装もバッチリ完成した真・ポップンコントローラーexで充実したポップンライフを! ……と、いきたいところですが、私の心中は穏やかではありません。
 現状のままでは、ドリームキャスト版のポップンミュージックが動かないのです!
 古いものを切り捨てたのでは、ただの二号機コントローラーです。『ex』の名を冠するからには、プレイステーション、ドリームキャスト両対応を実現させたい……ッ。

 「80%の完成度らしいな」
 「そんなことはありません、exは現状で100%の性能を出せます」
 「ドリキャスで動かないようだが?」
 「ドリキャスなんて飾りですよ! お偉方にはそれがわからんのです」

 否、断じて否ッ!

 俺が……俺が終わらせはしない!
 今こそあの箱を開けよう。初代真・ポップンコントローラーの炉心(基盤)が格納されたあの箱をッ!

 そして家庭用ポップン6の隠し要素がひと通り出そろったところで一気にポプコンを分解! 二つの炉心(基盤)から伸びる線を、ボタンスイッチの部分で半田付けしました。「使用していない方の基盤に流れる電気」がどうなるか解らないままだったが、まず実際に結線してみました。これ以上じっとしているのも嫌だったのだ。

 そしていざポップン6起動! そこで見たものは……高速で回転するメニューリスト、明滅するヒドゥン、ミラー、ランダムの表示。青のハイスピードオプションはどうなっていたかって? かわりに私の顔が青くなっていました。
 失敗だ。通電しっぱなしではないか!

ボタン、PSサイド、DCサイド その後「配線の極」の向きをそろえて再び半田付けするも、結果は同じ……。9×2×2箇所以上の半田付けでもうだいぶ心が砕けてしまいました。
 「これはマイナス極……GNDとかいうヤツか!」

 中学の時の技術の授業から一歩進んだことが、とうとう出てきてしまった。だが他に道はある。それは、これだァー!
 秋葉原の電気街で、ジャンクパーツを探していた時に見つけた25ピンコネクタ! これで「電気的に」ではなく「機械的に」二つの回路を切り替えるッ!

 そして完成したのがこのコネクタ。根気の賜物。もう今年は半田なんか見たくねぇッス。
 起動テストも無事に終了です。ちゃんと通電してるかどうかのテストは、いつやってもドキドキします。ちゃんとボタンが反応したときの安堵感も、初代ポプコンを作ったときと、少しも変わらない。



0.3mmの鉛シートを使用 やるべきことはもう一つ残っています。「さらなる静音工作」です。
 2002年の初頭からコナミスタイルの「アーケードスタイルポップンコントローラー」の発送が始まっていましたが、現物はあまりにも騒音の激しいものであったといいます。そして、さまざまな静音工作の技術が確立されていったのです。

 私が「静音工作済みのアケコン」に触れたのは、かなり後のことでした。ニャミ通.netのこすびさんに見せてもらったのですが、同サイトのコンテンツ「アケコンウォーズ」で紹介された方法で静音工作が成されたポプコンは、非常に静かなものに仕上がっていたのです。正直、目から鱗でした。

内側にも鉛テープを貼る 私の「ボタン内部に緩衝材を貼る」方法は……ボタン内部を1mmほど掘り下げて(無論裏は補強する)緩衝材のためのスペースを設けることが出来ればあの「モフッとした感触」を維持しつつスイッチもちゃんと動作するように出来るのですが、残念ながら現段階では加工が無理。
 かわりに使用したのがアケコンウォーズで紹介されていた0.3mmの鉛シート(テープ)。鉛には振動を吸収する性質があるといいます。その力を信じることにしました。
 貼り付けたのはボタンの内部、本体の内側です。底面はシートが足りなくなったので見送りました。

白い輪ゴムが見えるだろうか アケコンウォーズの静音工作で白眉ともいえるのが「輪ゴムでノックバック音を消す」という部分。ボタンが抜けないように設けられているストッパーがボタンの台に当たる音というのは、なかなか馬鹿にならないものでした。正直、ボタンの皿と皿がぶつかる音よりも、ノックバック音の方が大きいぐらい。

 輪ゴムとプラスチックは融着する心配があったので、ここでは直径1mmの、木綿繊維でコーティングされたゴム糸を使っています。画像から挟まっているところが解るでしょうか……?

 ※アケコンウォーズに輪ゴムは融着の可能性があると警鐘を鳴らしたのは他ならぬ私なのですが、現在普通の輪ゴムを使っている人もそんなに心配しなくていいです。一年使って融着無しとの報告もあります。私は自然切断の可能性が少ないゴム糸の方を選びました。




入れる前 入れた後 初代ポプコン

 すべてのボタンに糸ゴムを装着し終えたら、二つの炉心(基盤)と、共鳴防止のウレタンを隙間に詰め込んでいきます。一番左の画像の上部に見える、白いブロックだけ発泡スチロールです。ここにはPS/DCの切り替えコネクタが収まるので、壁のかわりに入れておきました。
 同アングルの、初代ポプコンの画像も並べてみました。剛性が飛躍的に向上しているのがよく解るでしょう。

コネクタ部拡大 完成まで後一息! 底面の5mmベニヤに穴を開けて、コネクタを繋ぎ替えられるようにします。

 コネクタの雌側は本体に固定されています。ちなみにケーブルを束ねているバネは、ボタンの中に余分に入っていたバネを使用しています。有効活用有効活用。

 使用していない方のコントローラーケーブル(この場合DC側)は、背面に取り付けたマジックバンドで固定しました。

神は底面に宿る フタとして使用されているのは……神のかけらだったりして。魂は底面にあり、です。マジックテープで容易に着脱できます。



 そして、完成ッ!